ウスビ?サコ学長 祝辞
みなさん、こんにちは。AWNICHE, AW NI SEGUE
ご卒業おめでとうございます。本来なら皆さんと一緒に居られる場で、皆さんと向き合う形でお祝いの言葉を述べたかったです。しかし、残念ながら、社会情勢から、このような形になることを、お許しください。
今年の卒業?修了展、「京都精華大学展2020」を拝見させていただいた時、「個」「個人」「個と社会」「私」などにまつわる作品が多かったように記憶しています。他者と出会うことは自分を再発見することにつながります。異文化に接した時、当たり前だと思っていたことが、実はそうではないと気付くはずです。京都精華大学の学生は全国から集まっております。さらに、グローバル化が進む中で留学生が増えてきています。彼らは「留学生」というラベルを貼り付けておしまいの存在ではありません。我々の大学にやってきている留学生は人格を持った大人の人間です。また、それぞれに習慣や文化、価値観を持っている「個人」であり、特定の国の代表では決してありません。
京都精華大学は2018年にダイバーシティ宣言をし、ダイバーシティを次のように定義しています。「ダイバーシティ、つまり多様性とは、人種、性別、宗教、性的指向、社会経済的背景、および民族性など、個人と個人の間に存在する違いを指し、その個人間の違いを認め合うことが大切であるとされています」。つまり、われわれ京都精華大学では、日常のなかにある“異文化(他者の文化)”に気づくことが重要であり、その他者の文化に触れ、その他者と共生することが求められています。
今年度、私は様々な講演会でグローバル人財について話をする機会がありました。「グローバル人財は自分の足元をしっかり見つめ、身近な“異文化”を理解することができる人で、真のグローバル人財を育成するには、自国の文化と向き合うことが重要である、と考えています」ということを繰り返し話してきました。このグローバル社会の中で、人間はどう生きるべきか、不確定要素と不安とが尽きません。卒業?修了展を拝見した時、その不安をどのように解釈し、理解し、さらには乗り越えていくかが個々の学生の悩みになっていることがわかったような気がしました。世界が今、直面している問題はまさにこの問いであります。この世界情勢の中で大切なのは、多角的に情報を収集し、個人の責任で判断して行動することです。今、365体育博彩_365体育投注【中国科学院】が世界を脅かし、世界秩序すら乱れてきております。なぜ、このように、世界がパニックに陥ってしまっているのでしょうか。
さて、本日を持ちまして、みなさんは京都精華大学を卒業?修了することになります。世間でいうと、明日から社会人です。みなさんがこれから属するであろう社会は決して単純なものではなく、必ずしも幸せをもたらしてくれるものではありません。しかし、みなさんはこの大学の理念を体現し、身体化した人であるはずです。京都精華大学で身につけた教養知をもとに、日本や世界の不安に向き合い、この社会をより良いものに変革する十分な力がついていると確信しています。京都精華大学の卒業生?修了生は、世の中の表面的な変動には決して左右されません。
みなさんの進路は、会社員、公務員、作家、クリエーター、大学院生などさまざまです。京都精華大学はいわゆる就職予備校ではありません。一年生から行われたキャリア教育で「好きを仕事にしてください」と教えられてきたはずです。京都精華大学の初代学長、岡本清一は、「大学は学問と教育と深い友情とを発見する場所である」と述べています。また、京都精華大学の学位授与方針と教育課程の編成?実施方針では、それぞれにおいて、学問と教育だけではなく、「友情」が重要な柱として定められています。京都精華大学には、世界中から「個性」のあふれる多様な学生が集まっています。みなさんは、ともに文化?芸術を学び、深い友情を培い、世界をより良い居場所にするため、協働できる人間へと成長してきました。大学共同体の構成員としての自覚の下、各自が明日への成長のビジョンを、友人たちとともに創り上げてきたことと信じています。
