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展覧会を企画してみて、どんな力が身についた?キュレーションを学んだ学生にインタビュー

1月31日から京都市内のギャラリー「MEDIA SHOP | Gallery」で開催中の「コンパスのコンパス」展。じつはこれ、キュレーションを学ぶ授業から生まれた展覧会なのです。
 
「現代アートプロジェクト演習4」というこの授業では、学生一人ひとりが企画案をプレゼンしあい、その中からひとつの企画を選び出します。そして今年選ばれた展覧会が、「コンパスのコンパス」展。今回は企画者の芸術学部版画コース3年の肥後亮祐さんにお話を伺いました。
肥後亮祐さん(芸術学部 版画コース 3年)
—展覧会を企画するなんて、なかなか経験できないと思うんですが、アートにもともと強い関心を持っていたんですか?
 
「もともとは身の回りにある雑貨など、デザイン方面に関心が強かったんです。でも大学に入ってからはアートの持つ思考の自由さみたいなものに惹かれて、展覧会によく足を運ぶようになりました。アート作品を媒介に身の回りのことを考えると、先入観や思考の枠が取り払われる気がして、とても新鮮で。これまで自分でも作品をつくったり、展覧会を観に行ったりはしていましたが、展覧会を企画したのは今回が初めての経験でした」
 
—入学後に関心の領域が広がって、しかも、初めての展覧会企画が実現したんですね!授業ではどんなことをするんでしょうか?
 
「まずは、展覧会を通して鑑賞者に何をどのように伝えるのか、そのために自分が気になる作家について調べるなど、キュレーションの基本を学んでいきます。そして、コンセプト作りから作家の選定まで、模擬的に展覧会作りを経験します。僕の企画である「コンパスのコンパス」展の開催が決まってから、作家の方を大学にお呼びして、作品について直に教えていただく機会を設けました」
出展作家の上田 良さんによるレクチャー
 —授業の担当は、金沢21世紀美術館でもキュレーターを務めた吉岡恵美子先生ですよね。経験豊富な先生からキュレーションについて直接教えてもらえるんですね。
では、今回の展覧会「コンパスのコンパス」展について教えてください。
 
「コンパスって、ふたつのモノが思い浮かぶと思います。方位磁石としてのコンパスと、文房具のコンパスです。私たちは生きる中で、自分自身の位置や世界のいろんな事との距離や関係性を探っていると思うんです。位置関係や距離を考えたとき、コンパスがとてもシンボリックなものに思われてきます。今回お招きした上田 良さんの作品は、自作のオブジェを撮影して印刷することで、彫刻と写真の複数の視点が交差し、鑑賞者の思いを中間的な場所へといたらせますし、もうひとりの迎 英里子さんの作品は、私たちの身の回りで起きている事象に対して、婉曲的にその構造を可視化させます。ふたりの作家が示す位置関係や距離の感覚は違いますが、お互いの作品が出会うことで連鎖的に示し合う「コンパスのコンパス」となって、その先に新しい発見が生まれるんじゃないかと考えたんです」
 
—なんだかとても深く、しっかりと企画が考えられていて、授業の成果が存分に活かされているように思います。肥後さん自身はこの授業を通じてどんな力が身についたと感じていますか?
 
「考える力は勿論なんですが、今回の新しい収穫というと、鑑賞者が作品をみるときに、そこにどんなメッセージを読み解きうるのか?ということを強く考えるようになったことが大きいと思います。シンプルに言うと、相手の立場に立脚した考えができる力と、セルフプロデュース力なのかなと思います。また、この企画を進めているときに、版画コースのゼミの展覧会の準備も並行していたんですが、その構成を考えるときにも、早速この授業での経験が役立ちました」
 
普段は作品制作している学生たちが、展覧会を企画することによって得られた新しい視点。それはまさに、「コンパスとコンパス」が連鎖して生まれた新しい発見だったのではないでしょうか。また今回は、グラフィックデザインコースの学生たちが展覧会のチラシ等のグラフィック部分を担当するなど、異なる学部の学生たちとのコラボレーションも生まれています。こうした交流から生まれる新しい視点が、ときに世界を認識する方法を一変させることもありえるのではないでしょうか。
 
もしかすると、みなさんの世界も一変するかもしれません!ぜひご覧ください。
「コンパスのコンパス」展

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