学生と職人がコラボレーションした、西陣織づくしのバスが運行。
「NISHIJIN BUS」は、西陣織工業組合の「西陣と呼ばれて550年」記念事業の一環として、本学と西陣織工業組合、京都市交通局との産学官連携によって誕生したプロジェクトです。デザイン学部ライフクリエイションコースの勝田穂波さんと藤田聖香さんが、西陣織を施したバスをデザイン。実際に2017年9月より運行を開始し、注目を集めています。
このたび本プロジェクトを通じた学生の取り組みや成果を発信するため、プロジェクトの主役である学生にフォーカスした映像を制作しました。
本プロジェクトのきっかけは、西陣の金襴(きんらん)職人を父にもつ本学の卒業生?池上真由美さんが、父親の廃業を機に危機感を抱いたことでした。西陣織はその高い技術と美しさを誇る伝統工芸ですが、知名度とは裏腹にその魅力を身近に知る人は限られ、また職人の高齢化や後継者問題などの課題を抱えています。こうした現状に一石を投じるため、「より多くの人に西陣織の魅力を知ってもらいたい」そんな池上さんの思いが出発点になりました。
池上さんからの相談を受けた本学デザイン学部ライフクリエイションコース教員の米本昌史、そして勝田さんと藤田さんは、西陣織を身近に感じてもらえる仕組みとして、誰もが利用する公共交通機関に着目。バスに西陣織を施すことで「身近に触れられる西陣織」に挑みました。
西陣織の制作とアドバイザーを勤めてくださった小川織物株式会社の小川浩保さん、岱﨑織物株式会社の山﨑徳子さんの協力のもと、学生たちは市バスを運行する京都市交通局へ「NISHIJIN BUS」のアイデアを提案しました。
対象となった市バスは、老若男女を問わず多様な人との関わりが想定され、公共性が高いデザインが求められます。実現に至るまでには多くのハードルがあり、たとえばバスの外装には京都市の定める景観政策に則したデザインが求められたり、内装においても運転手や乗客の妨げにならないことに配慮したりする必要がありました。
こうした課題に向き合いながら、学生たちはデザインのプレゼンテーションや試作品づくりを重ね、2017年9月、ついに「NISHIJIN BUS」が完成。シートや吊り革、広告スペースなどの内装に本物の西陣織を施し、外装には西陣織のタテ糸とヨコ糸から未来に咲く花が描かれました。
担当教員の米本は「さまざまな制約をどう乗り越えていくのか。実社会、地域と繋がるデザインの過程において、学生たちは一つひとつ問題をクリアにしていく力を身につけることが出来た」と、今回の産学官連携の教育的価値について振り返りました。伝統工芸の新たなかたちを身近に感じながら、京都の街を移動できる「NISHIJIN BUS」にぜひご乗車ください。
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